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『星川修のマイジェネレーション』
LINK誌上で連載中の編集長コラム
編集長コラム: ニュース
『LINK』2019年6月号
~映画監督:田宮優人~
本気で何かものを作ろうと思ったとき、初めから全てを思い描いた通りに形にできる人はまずいない。
もし、そのような環境に恵まれていたとしたら、新しくて面白いものを生み出すのにはかなり不利だ。
なぜかというと、思うように進まないときにこそ今まで誰も通っていない道が見つかるから。
そして思い通りにならないことを実現させることができたとき、その人のクリエイティビティは評価される。
そしてこれは人生にも同じことが言えて、思い通りにならないことを実現させる力を持つ人を、成功者と呼ぶのだろう。
田宮優人監督のデビュー作『Don't Stop Talking!』には、思い通りにならないことへの賛美と反発が詰め込まれている。思い通りにならないなら笑いに変えてしまおうという彼の執念は、予算300万円にもかかわらず前例のないコメディ作品を世に送り出した。同時に、一度始めたことには最後まで全力を尽くすという、彼の映画監督としての覚悟も感じられた。この映画の緻密に仕組まれた面白さが、それを物語っている。
現在新宿と池袋の2館でしか観ることができないが、この映画の良さが分からない人とは仲良くできないと思うほどの傑作だと記しておく。
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